一般歯科だとカロナール、ロキソニン、サワシリン(抗菌薬)を知っておけばなんとかなるイメージだが、口腔外科だと重症感染症や侵襲の大きい手術後の患者さんなどを扱うため、使う薬剤にバラエティがある。
以下は口腔外科領域における分量
経口薬
カロナール
成分:アセトアミノフェン
成人
1回に1000mg(500mg錠2個)まで、6時間空けて4回まで
→1日のmaxは4000mg/d
一応肝代謝なので、長期的に1500mg/dを超える場合は肝機能の変化に注意。
乳児〜小児
カロナールシロップを1回に10mg/kgで経口投与、4時間空けて6回まで
→1日のmaxは60mg/kg
ただし、成人量(4000mg/d)は超えてはいけない。
NSAIDsの説明
NSAIDsはNon-Sretoidal Anti-Inflammatory Drugsの略で、アラキドン酸カスケードのCOXを阻害することで炎症や疼痛の起因となるPG類の合成を阻害する。
COXはCOX-1,COX-2の2種類があり、COX-1は生体臓器恒常のための酵素で、COX-2は炎症や疼痛の起因になる酵素である。
通常のNSAIDsを服用すると、生体の恒常性のために必要なCOX-1も阻害するため、COX-1が発現している血小板や消化管、腎臓の機能を妨げるので、合併症として
- 消化管障害(胃潰瘍)
- 腎障害
- 出血傾向
が生じる恐れがある。
また、アラキドン酸カスケードのCOXを阻害すると、別の経路が活性化してLT類の合成が増強される。LTは気管支のLT受容体に結合して気管支を収縮させるので、
の合併症も生じる恐れがあるため、喘息の既往がある患者には使用しない。
今回は具体的な薬の種類を確認したいので、詳しい機序はまた今度。
酸性Nsaids
ロキソニン
60mg錠×3回(定時)
60mg〜120mg/回(頓用) 上限は??
ボルタレン
成分:ジクロフェナクナトリウム
25mg錠 3錠分3で処方する。
ロキソニンと同じくNsaidsだが、上位互換である。
ロキソニンより強い鎮痛薬だが、その分だけ副作用が強い。
よく湿布とかで見かける。
トラムセット
成分:トラマドール(トラマール)37.5mg+アセトアミノフェン325mg
癌性疼痛に使用するオピオイド系のトラマールを含んでおり、効きが強い。
1回1〜2錠×4回まで
→maxは8錠/d
塩基性NSAIDs
塩基性NSAIDsはCOX阻害作用はないらしく、ヒスタミンやセロトニンに拮抗して抗炎症作用が働くらしい。
ソランタール
成分:チアラミド塩酸塩
鎮痛作用が弱い分、副作用も少ない。
100mg錠 3錠分3で処方
中性NSAIDs
セレコックス
成分:セレコキシブ
COX-2の選択的阻害薬なので、ロキソニンと同程度の鎮痛作用を得ながら、消化管障害などの合併症が生じづらくなる。
初回のみ400mg
2回目以降は200mg×2回/dで処方。
トラマール
成分:トラマドール
オピオイド系のため、モルヒネ程ではないが、消化器症状やめまい、吐気などの症状が出る恐れあり。
初回投与は25mgから開始し、聞かなければ暫時増量する。
100mg/回、400mg/dは超えない。
リリカ
成分:プレガバリン
カルシウムチャネルの細胞表面発現量やカルシウム流入を抑制し、神経伝達物質の遊離を抑制し、神経障害性疼痛を緩和する。
初回は75mg×2回、分2で600mgまで増量可。
移動量が大きいSSRO後や骨折に伴う電撃痛を訴える患者さんなどに適応となるが、副作用として20%以上にめまいや傾眠が生じるため、運転など日常生活には注意が必要。また、視力低下の報告もあることから、十分に注意して処方する。
点滴薬
アセリオ
成分:アセトアミノフェン div用
1000mgのパックは100mlに希釈されており、パックになっている。
成人(50kg以上)の疼痛
1000mgを15分かけてdiv、6時間以上空けて4回まで
→maxは4000mg/d
成人(50kg未満)の疼痛
15mg/kgを15分かけてdiv、6時間以上あけて4回まで
→maxは60mg/kg/d
成人の発熱
500mgを15分かけてdiv、1日2回まで
ロピオン
成分:フルルビプロフェン アキセチル
NSAIDsで唯一の点滴薬、大豆油(脂肪乳剤)に封入しているため白く、炎症巣に取り込まれやすい。
用法としてはIVのためアンプルに入っているが、出来る限りゆっくり投与することが望ましいため、臨床上では生理食塩水100mlとかとミキシングして30分〜60分かけてdivする。