口腔外科の特徴として、顎骨や口腔組織にできる感染巣への抗菌薬移行性は低いため前提として、
感根治や切開排膿などを併用することが望ましい。
まずは歯性感染症の種類
重症度で1群から4群まで分類される。
1群:歯周組織炎
歯髄感染を起因とするperや辺縁性歯周炎
2群:歯冠周囲炎
主に埋伏歯周囲に限局した炎症
3群:顎炎
1、2群が進行し、顎骨にまで波及した骨炎、骨髄炎。
4群:顎骨周囲の蜂窩炎
1〜3群が進行し、顎骨周囲の隙にまで波及した蜂窩織炎。
歯性感染症の原因菌
Streptococcus属(GPC) 70%
Prevotella属(GNR) 50%
嫌気性が多いし、βラクタマーゼ産生株も多いので、ABPC単体では効かない。
ABPC/SBTだと効く。
Peptostreptococcus属(GPC、偏性嫌気性) 50%
Fusobacterium属 10%
Porphyromonas属 5%
βラクタマーゼ産生株が少ないので、ペニシリン系もセフェム系も効く。
重症例ほど嫌気性菌の検出率が高い。
1、2群
経口薬で加療する。
第一選択はAMPC 250mg×3回
第二選択(ペニシリンアレルギー)はCLDM150mg×4回
3、4群
βラクタマーゼ産生嫌気性菌に注意が必要。
経口なら
第一選択はAMPC/SBT 250mg×4回
SBTPC375mg×3回
第二選択はCLDM150mg×4回
Divなら
ABPC/SBT 3g×4回
CTRX 1-2g×1-2回
特に重症例だと
MEPM 0.5-1g ×3回
DRPM 0.25-1g×3回
壊死性筋膜炎など最も重篤な場合は
カルバペネム系+CLDMの併用
これは感染症が生じた場合の抗生剤投与
SSI予防の術前抗菌薬投与に関して
インプラントや抜歯術
AMPC
全身麻酔の大掛かりな手術
口腔内切開の手術
骨切りや口内法の腫瘍嚢胞摘出術など
口腔内に多いレンサ球菌、嫌気性菌を標的とするため、これらを標的とするABPC/SBTやSMZを第一選択とする。
口腔外切開の手術
気切や口腔外法の骨折整復術、口外法の悪性腫瘍手術など
表皮に多い黄色ブドウ球菌、レンサ球菌を標的とするため、これらに抗菌力が強いCEZを第一選択とする。
とはいえ臨床だと昔からGA手術におけるSSI予防の抗生剤投与はCEZが主流で、口腔内の細菌にも多少は効くので、CEZを使うことが多い。
理想をいえば、口内法の手術ではABPC/SBT。
ユナシンは治療薬でスペクトラムが広いからSSI予防には使用しないらしい。
じゃあ何を使うんだろうか。
もっとスペクトラムが狭いアミノペニシリン系とはいっていた。スルバシリン?