口腔外科で処方する含嗽薬はそんなに多くない。
抗菌作用
イソジン
口内炎や抜歯創、咽頭・扁桃炎など口腔創傷の感染予防や消毒効果がある。
ヨウ素は17族元素で酸化力(電子を奪う力)が強いので、かなり強い殺菌力を持つ。
従って、イソジンは感染予防で処方することがある。
ただヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料であり、甲状腺に取り込まれるので、原理はよくわからないが、甲状腺機能異常の患者に処方すると甲状腺機能低下症を来たす恐れがあるため、添付文書でも慎重投与とされている。
ネオステグリン
陽イオン界面活性剤(逆性石鹸)であるベンゼトニウム塩化物が配合されており、一般細菌に対して広く有効である。
陽イオン界面活性剤は親水基としてN(主に第四級アンモニウム)を持ち、R-N + を呈している。つまりアルカリ性。
細菌の表面のタンパク質のCOOH基が塩基性下でCOO - になり、イオン結合でCOO -・N +-R を生じ、殺菌作用を来していると考えられている。
ベンゼトニウム塩化物は代表的な第四級アンモニウム塩であり、上記の理由から抗菌スペクトルが広く、抗菌作用も強い。
一方で、上記の機序の所以で、タンパク質や脂質の共存下では効果が減弱される。
イソジンは細菌だけでなくウイルスにも効くので、咽頭炎や扁桃炎に効くのはイソジン。
じゃあイソジンでいいんじゃないかって思うけど、それだけ菌交代現象が起きるってことだし、ネオステの方が有害性も低くて洗浄作用がある?(タンパク質を変性するから?)らしいので、口腔内の洗浄という観点ではネオステを処方する意義があるのかも。
抗炎症
アズノール
NSaidsのアズレンスルホン酸ナトリウムが配合されおり、口内炎や咽頭炎、急性歯肉炎などに対して効果を持つ。それだけでなく、なんと創傷治癒効果もあるらしい(ハムスターに酢酸を飲ませて口内炎を作り、アズレンを使用させた実験系に基づく)。
つまり、RT後の粘膜炎に対する治癒促進効果も期待できるかもしれない。
炎症が進まなければ治癒も促進するって考えなんだろうか。
5滴程度を100ml(コップ半分)で薄めてうがいしてもらう。
ハチアズレ
ハチアズレはアズレンスルホン酸に加えて炭酸水素ナトリウム(重曹)も配合されている。よって、唾液の緩衝作用を補っており、サッパリ感が強くて、患者さんによっては使いやすいらしい。
つまり効用はほとんど変わらないんだろうか。
チョコラBBの口内炎用ショットにもアズレンスルホン酸が少し含まれている。処方用と比べると配合量が少ない(20mg/100ml)ですが、むしろ安全に使えるわけですし、オススメです。他のチョコラBBはビタミン剤らしいのでこれが良い気がする。