口腔外科医・歯科医師が理解するべき抗菌薬の概念

抗菌薬の理解って大事そうだけど、自信を持って説明できる歯科医師は少ないのではないでしょうか。 世の中には抗生物質の参考書が山程転がっていますが、いずれも医科向けに作られているし、 学部の授業なんておじさんの余生に付き合ってるようなものでした…

下顎骨骨折に対する観血的整復固定術の術式

下顎骨骨折に対する観血的整復固定術は比較的お目にかかる手術です。 今回はそんな手術の術式についてまとめます。 下顎骨骨折の概要 術式 下顎正中骨折 切開 剥離 リダクション プレート固定 縫合 下顎骨骨折の概要 成人の下顎骨骨折に対してはプレートによ…

口腔外科で多用するシェーマの書き方

シェーマとは身体部位の絵図のこと。 腫瘍や嚢胞の病理提出やカルテ記載など、口腔外科でシェーマを使用する場面は多い。 最低限のシェーマを描けることが口腔外科研修医の甲乙をつける上でのポイントとなる。 絵が上手い人なら苦ではないが、作画が苦手な人…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ アレルギー・アナフィラキシーの対応

歯科医師業を行うとアナフィラキシーに遭遇する場面はいつ遭遇してもおかしくない。 アレルギーとアナフィラキシーの違い アナフィラキシーとの遭遇 局所麻酔 抗生物質 鎮痛薬 その他 アナフィラキシーの定義 アナフィラキシーの症状 アナフィラキシーの対応…

ドレーン管理について

口腔外科の診療で口腔内や頸部にストローのような物が留置されていて、ストローの先のバッグの中に血液が入っている様子をよく見かける。 歯学部の学生は歯の疾患ばかり勉強するため、どの学生も初めて口腔外科に行って衝撃を受ける理由の1つだと思う。 今回…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ救急学 Circulation異常所見への介入

First surveyであるCに異常所見を認めた際の介入を考える。 Cの異常所見 循環の原理 1.酸素運搬量 2.酸素消費量 3.抹消の灌流 循環の改善 1.Hb,SaO2の適正化 2.心拍出量の適正化 ショック 敗血症 Cの異常所見 Cの異常所見としては徐脈頻脈・血圧の低値高値な…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ救急学 Breathing異常所見への介入

First surveyであるbreathingに異常所見が生じた際の介入を考える。 Bの異常所見 対応 酸素投与 経鼻カヌラ 酸素マスク リザーバーマスク 補助換気 バックバルブマスク(BVM) Bの異常所見 Breathingの異常所見として呼吸数・SpO2・胸郭挙上の左右差といった呼…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ救急学 Airway異常所見への介入

First SurveyであるABCDEにそれぞれ異常所見が見られた場合の対応について考える。 Aの異常所見 異物除去・吸引 徒手的気道確保 頭部後屈顎先挙上法 下顎挙上法 エアウェイ 経口エアウェイ 経鼻エアウェイ 挿管 準備する物 手順 Aの異常所見 会話が可能であ…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ急変患者の対応アプローチ 概論

口腔外科に限らず日常生活においても、目の前の患者が急変する場面に遭遇する事がある。その時はBLSに準じた対応をして救急科の先生にpassする訳だが、救急科の先生はその後に何を考えながら対応しているのか? 余りにも疾患の範囲が広すぎて内容の統一性が…

病棟患者の転倒時に留意すること

転倒すると 病棟患者は 内的因子(加齢や原疾患に伴う平衡感覚・視力・筋力の低下など) や 外的因子(慣れない部屋・多くの医療器具など) 状況的因子(慌てて歩くなど) によって、転倒リスクが高い。 こうした患者は転倒すると骨折や脳出血が生じる事があり、長…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ 心エコーについて

準備 心エコーを行う際は患者さんを左側臥位にして、Drが患者さんの右側に立ち、右手でプローブを持って操作する事が望ましい。 僕が研修した科では仰臥位で普通に撮影していたが、画像が上手く描出が出来ないことも良くあり、そういう場合は左側臥位にして…

採血・ルート確保について

採血・ルート確保は患者さんのラボデータ確認や投薬など、全身管理をする上で必須の手技である。 準備する物 簡単な流れ 準備 血管の選択 Point 消毒 穿刺 Point 採血 Point 分注 準備する物 アルコール綿 白十字 ショットメン 100包入 [指定医薬部外品] 白…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ エコーの基本

エコーは超音波を振動に当て、返ってくる音波を受信することで心臓の動きを可視化させる検査のこと。 エコーのメリットは何といっても非侵襲性と簡便さ、そして動的さ。 放射線を使用しないので被曝しないし、簡単に撮影できる。 また、画像を経時的に見る事…

歯科医師・口腔外科医が学ぶ 造影CTと腎機能について

患者さんに造影CTを撮影したい時に腎機能が悪く、「撮影可能なのか?」と思い悩む場面が多い。 造影CTの禁忌について口腔外科医は理解しておかなければならないため、簡単に記載する。 造影CTを撮影する際に留意する点は ヨード過敏症の既往(禁忌) 重篤な甲…

よく耳にする薬 抗凝固薬・抗血小板薬編

外来患者や入院患者さんは何かしらの薬を定時で飲んでいることが多いが、診察時に1つ1つの薬を検索する暇はない。 まずは、処置をする上で特に注意しなければならない抗凝固薬や抗血小板薬、骨吸収抑制剤の代表格を知っておくことが大事だが、 薬について…

口腔ケアの重要性

口腔は消化管の入口として一つの器官であり、全身の一臓器としての役割を持つ。 口腔ケアとは口腔ケア用品を用いて口腔内を清潔にすることで、口腔疾患だけでなく、全身疾患までの予防を目的としている。 口腔ケアを行うことで口腔内の細菌や汚染物質を除去…

プレート抜去術の術式

プレート抜去術は口腔外科の手術で日常的に行われている手術で、若手の口腔外科医が行うケースが散在されるが、比較的基本の手術であるためか、書籍などで術式について詳しく記載していない。 若手こそ術式を学ぶべきであり、そこに矛盾が見られる。 従って…

口腔外科でよく処方する薬(非鎮痛薬)

口腔外科でよく処方する薬(非鎮痛薬) メチコバール 成分:メコバラミン 生体内補酵素型ビタミンB12。 ホモシステインからメチオニンを合成するメチオニン合成酵素の補酵素として働き、メチル基転位反応に重要な役割を果たす。 ビタミンなので神経細胞内小器官…

輸液の選択

輸液の選択 周術期に何を考えながら輸液の使用を検討するかを説明する。 そのためには、まず簡単に基礎知識が必要となる。 成人は体重の60%が水分で構成されている。 その水分も全てが血管内に居る訳ではなく、 血管内 細胞内 組織間 の3カ所に体液は分布し…

輸液が必要なin量の計算方法

周術期に輸液補給を行う症例は多いが、歯学部では全く習わない話であるため、考えていく。 今回は輸液の計算方法について 周術期で患者さんに輸液補給をする時、どの位の量をどの位の速度で補給すればいいのか考える必要がある。 水分のin/outの原理を踏まえ…

口腔外科でよく使う含嗽薬

口腔外科で処方する含嗽薬はそんなに多くない。 抗菌作用 イソジン 口内炎や抜歯創、咽頭・扁桃炎など口腔創傷の感染予防や消毒効果がある。 ヨウ素は17族元素で酸化力(電子を奪う力)が強いので、かなり強い殺菌力を持つ。 従って、イソジンは感染予防で処方…

口腔外科の手術室でよく使う機材

手術室で使う機材には一般の歯科医師に馴染みがないもので一杯。 折角学生時代に色々な歯科材料を暗記した歯科学生も、口腔外科の研修医になるとまた一から覚える羽目になります。 ここでは簡単に供覧 剪刀 形成剪刀 直 日本フリッツメディコ 形成剪刀 13cm …

口腔外科で使う軟膏の種類

口腔外科では外来でも病棟でも軟膏を使用する事がよくある。 軟膏とは 軟膏は皮膚粘膜疾患に使用される半個体製剤で、基剤に有効成分を混和させた医薬品のこと。 軟膏は基剤に白色ワセリンなどの油性基質を使用している。 そのため、患部が乾燥していても湿…

経鼻経管栄養の実際

口腔外科では創部保護・栄養管理目的で胃カテ(マーゲン)を使用する機会が多い。 マーゲンの使用、管理法について知る限り述べる。 マーゲンには太さがあり、基本的には10Frが多い。 1Fr:1/3mm なので、10Frだと10/3mmが標準的な太さとなる。 患者さんの状況…

口腔外科でよく使う抗菌薬の選択

口腔外科の特徴として、顎骨や口腔組織にできる感染巣への抗菌薬移行性は低いため前提として、 感根治や切開排膿などを併用することが望ましい。 まずは歯性感染症の種類 重症度で1群から4群まで分類される。 1群:歯周組織炎 歯髄感染を起因とするperや辺縁…

口腔外科でよく使う抗菌薬の種類

とりあえず口腔外科医として最低限知っておくべき抗菌薬の種類だけに集約する。 ペニシリン系 ペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用し、細胞壁の合成を阻害する殺菌性抗菌薬。 ・古典的ペニシリン ・ペニシリナーゼ耐性ペニシリン ・アミノペニシリン ・抗緑…

口腔外科の外来でよく使用する器具

口腔外科の外来には一般歯科で見慣れない器材が並んでいることもあるので、口腔外科の研修医になるなら以下の器材を知っておくと楽かと思う。 15番メス フェザー 使い捨てメス #15 フェザー Amazon 貝印(Kai) ディスポメス NO.15 20本入 /2-5726-25 貝印(Ka…

口腔外科でよく使う栄養剤

口腔外科では創部保護や長期的な栄養管理目的で経腸栄養を行うことが多いが、具体的にどういった栄養剤を使用しているかは歯科大学の授業では習わないのでは。 ということで、栄養剤の説明と口腔外科でよく使う栄養剤を供覧していきます。 経腸栄養剤(人工濃…

口腔外科における栄養投与経路の適応

よく医療現場で患者さんを従事すると、教科書で何度もみかける下図が重要である事を痛感する。 腸管を使わないと腸管が萎縮し、腸内細菌や腸管免疫の低下などが生じる。 全身の臓器は相互に作用しているのは有名な話であり、使える臓器は使うに越したことが…

口腔外科でよく使う医療材料

歯科医師の85%程度は一般歯科に従事しており、口腔外科医は5%程度しかいない。 一般歯科だと齲蝕処置や補綴治療が主で、医科病院で日常的に目にする薬剤や医療器具などを使用する歯科医師は口腔外科医のみであろう。 歯学部の教育では虫歯の削り方や入れ歯の…