歯科医師・口腔外科医が学ぶ救急学 Airway異常所見への介入

First SurveyであるABCDEにそれぞれ異常所見が見られた場合の対応について考える。

 

Aの異常所見

 会話が可能であれば気道閉塞はないと考えられるが、意識障害が見られる場合は舌根沈下や異物(吐物)貯留で気道閉塞を来たす場合がある。

 呼吸性喘鳴が聴こえたり、モニターを装着してSpO2が低下している場合は気道閉塞を疑い、対応が求められる。

 

異物除去・吸引

 気道に異物があって閉塞している場合は異物を除去しないと改善されないため、サクションで異物を除去・吸引する。

 

徒手的気道確保

 まずは下顎を徒手的に挙上させて気道を確保する。

頭部後屈顎先挙上法

 頭部を後屈させ、顎先を挙上する。頭部を動かすため、外傷患者には禁忌である。

下顎挙上法

 12時の方向から両手で顎角を持って上方に挙上する。

 

エアウェイ

徒手的気道確保でも困難であれば、エアウェイで気道確保する。

経口エアウェイ

舌根沈下を解消する目的で使用する。

 

 

  1. 徒手的気道確保を行う 

     気道確保を行いながら操作を進めないと、症状は更に増悪するし、エアウェイ挿入時に適切な操作を行えない

  2. 適切なサイズのエアウェイを選択 

     先端が舌根と咽頭後壁の間に留意され、舌根沈下が解消される長さ 

     体表上で考えると、口角から下顎角に至る長さのエアウェイ(主に3-5号)を選択する。

     短いと舌を圧迫し、長いと喉頭蓋を圧迫して、気道閉塞を増悪させる。

  3. エアウェイにキシロカインゼリーをまぶす
  4. エアウェイの先端を頭頂側になる方向で口腔内に挿入する。
  5. 先端が咽頭後壁に近づいたら90°回転させ、正しい位置に留置する。

   ※下顎挙上を止めると気道閉塞する恐れがあるので、エアウェイ留置後も下顎挙上は

    継続しなければならない  

 

経鼻エアウェイ

 舌根沈下で経口エアウェイが困難な場合に適応となる

 

 

  1.  徒手的気道確保を行う 

      気道確保を行いながら操作を進めないと、症状は更に増悪するし、エアウェイ挿入時に適切な操作を行えない 

  2.  適切なサイズのエアウェイを選択

      鼻から耳珠の長さを目安とした長さを選択する。

  3.  エアウェイにきしろカインゼリーを塗す
  4.  エアウェイの挿入
    エアウェイのカット面を鼻中隔側にし、顔面に垂直にしてエアウェイを挿入する   尖った面を鼻中隔側にすると鼻中隔を傷つける                  操作しやすい鼻(右利きなら右鼻)で行うと良い。
  5. 挿入できたらエアウェイが入り込まないように、安全ピン等を先端につける

 

挿管

エアウェイでも気道確保が困難であれば、気管挿管が必要になる。

 

準備する物

挿管チューブ(女は7~8mm,男は8~9mm)

 

 

スタイレット(挿管チューブの形状保持)

 

 

シリンジ

 

 

キシロカインゼリー

 

 

ビデオ喉頭鏡(3号)

 

 

マギル鉗子

 

 

聴診器

 

 

吸引

 

 

 

 

 

手順 
  1. 準備

     喉頭鏡のブレードをセットし、電気が点灯するか確認

     挿管チューブのカフが膨らむか、シリンジでエアを入れて確認 

     挿管チューブ内にスタイレットを挿入し、先端に突出させないギリギリの位置で固定

     チューブ先端にキシロカインゼリーを塗布  

     後頭部に枕を置いてスニッフィングポジションにする

     スタイレット(挿管チューブの形状保持)

     シリンジ

     

  2. 薬剤投与

     

     声かけをして鎮静を確認する。
  3. 喉頭展開 

     喉頭鏡を喉頭蓋谷に挿入し、気管口を明示する。

  4. 気管チューブ挿入

     左手で喉頭鏡を持ちながら右手で気管挿管チューブを入れる。

     挿管チューブを挿入したら位置がずれないようにしっかり持ち、助手の人が両手でスタイレットを抜き、空気を10ml程度入れてカフを膨らませる。

     

    スタイレット(挿管チューブの形状保持)

    シリンジ

     気管チューブが正しい位置にあるかを聴診器で確認

    心窩部:胃の泡沫音がないか あったら胃挿管なのですぐ抜去

    胸部・側胸部:左右で聴診して呼吸音に差がないか 

     視診で胸郭の上がり方に左右差がないか確認

     気管チューブ内に曇りがあるか確認