口腔外科でよく使う医療材料

歯科医師の85%程度は一般歯科に従事しており、口腔外科医は5%程度しかいない。

一般歯科だと齲蝕処置や補綴治療が主で、医科病院で日常的に目にする薬剤や医療器具などを使用する歯科医師は口腔外科医のみであろう。

歯学部の教育では虫歯の削り方や入れ歯の作り方などに力が入れられており、医科病院で働くための教育は行っていない。

従って、研修医として口腔外科に入局しても、学生時代に6年かけて学んでいた学問は殆ど活きず、看護師さんや医師と対等に会話できるようにするために、また一から勉強し直す必要がある。

 

今回のブログでは、その中でも医療材料について、4月から口腔外科医に入局する人に対して説明するような感覚でまとめる。

 

マイクロポア

顔面の創部にガーゼを当てる際に固定目的で使用したり、創部保護で直接貼ったりする。

マイクロポアにも種類があるらしいが、口腔外科だと創部が見た目に関わる顔貌になるため、目立ちづらいこの色の種類を使うことが多い。

 

 

優肌絆

用途はマイクロポアと全く同じだが、漢字から分かる様に、肌に優しく、マイクロポアよりもテープかぶれになりにくい。

その代わり接着度は劣るので、患者さんによって使い分けるのが良い。

 

 

ブレンダーム

更に接着性は劣るが、水を弾く。

手術室で体に心電図などを固定する時に使っているなど各場面で使用している印象。

 

 

膿盆

洗浄する時に垂れ落ちる洗浄液をこぼれないようにする際に見かけることが多い。

後は嘔吐時とか。

処置時に使う時はディスポの紙製を使い、病室や手術室では金属製を使っている印象。

 

 

ステリテープ

傷口を閉鎖する時に固定するテープ。

口腔外科だと気切部の閉創などでお目にかかる。

気管切開した所を閉鎖する時に、縫合してもいいが、創部を寄せ合わせてステリテープで固定した方が侵襲が少ない。

 

 

キュティポア

絆創膏みたいなもの。

ポリウレタンフィルムの真ん中に吸水性のパッドがある。

気切部の閉鎖をステリで固定した上からこのキュティポアで更に固定したりする。

透明のフィルムの上から吸水性のパッドが見えるので、滲出液があるかが観察できる。

 

カラヤ

透明な絆創膏のこと。

ハイドロコロイド創傷被覆剤で、創部に貼付して創傷治癒を期待する。

透明なので創部の状態がクリアに見る事ができ、滲出液の変化をしっかり見る事ができる。

その他、術後の圧迫で使用するケースも見かける。

 

 

テガダーム

ポリウレタンフィルムドレッシング材で、カテーテル穿入部位に貼って固定したり、傷の総部に貼って創部保護したりする。

 

 

サージット

これまたポリウレタンフィルムドレッシング材で、カテーテル穿刺部位の固定で使ったりする。

 

 

Yガーゼ

気管カニューレやドレーンのチューブを固定できるよう、ガーゼにY字の切り込みが入っている。

特に術直後だと滲出液や膿などが漏出するため、汚れたらこまめに代える必要あり。

 

 

デルマーク

切開線など、皮膚や粘膜に線を印記する際に使用する。

水性であり、口腔粘膜にマーカーするとすぐインクが出なくなり、上級医の先生が湯切りのようにペンを振る姿をよく見かける。僕もその立場にまでなれるのだろうか。

消毒、着色等の目的でデルマークに含まれるメチルロザニリン塩化物の発がん性が示唆されていて、使わない方向にシフトしている。

メチルロザニリン塩化物が入っていないマーカーはある?ない?

 

 

ガッチリバン

粘着性が強く、圧迫したりラインを固定する際に使用する。

 

 

メパッチ

手術時に薬液・血液から眼部を保護する角膜保護用テープ。

色がついている部分を眉毛にくるようにし、鼻の部分をトリミングして目に貼付する。

 

 

レティナ

傷口の形態を維持するシリコン製の器材。

主に、鼻孔レティナと気管切開部レティナがある。

鼻の修正手術をした患者さんには、術後に鼻の変形を防ぐために鼻孔レティナを3ヶ月ほど使用してもらう。

最初の1ヶ月は常時使用し、その後は寝るだけとか。適宜調整。

気管切開した患者さんは、気切部が閉鎖しないよう保持しておくために気管孔レティナを使用する。

医療用のはAmazonに売ってなかったけど、鼻のレティナはいびき防止の鼻栓と瓜二つ。