よく耳にする薬 抗凝固薬・抗血小板薬編

外来患者や入院患者さんは何かしらの薬を定時で飲んでいることが多いが、診察時に1つ1つの薬を検索する暇はない。

まずは、処置をする上で特に注意しなければならない抗凝固薬や抗血小板薬、骨吸収抑制剤の代表格を知っておくことが大事だが、

薬については知っていれば知っているほど損はない。

 

今回は、患者さんのお薬手帳を開くとよく見かける代表薬について、観血的処置を行う上で重要になる物を中心に説明する。

 

 

 

抗凝固薬

血液の凝固系を抑制することで、血栓の生成を防止する。

血液の遅い環境下だと凝固系が活性化しやすい(フィブリン血栓)。

心房細動や深部静脈血栓症(DVT)があると、心臓や深部静脈の血流が滞留しており、そこで生成されたフィブリン血栓が飛んで、脳梗塞(CI:cerebral infraction)や肺塞栓症(PE)を引き起こす可能性が高い。

そのような症例に対して抗凝固薬を服用している患者をよく見かける。

 

ワーファリン

ビタミンKを抑制して抗凝固作用をもたらす。

心房細動に対して使用する非常に有名な薬だが、抗凝固作用を一定に維持するのが難しく、投与量を調整するために定期的な採血が必要になる。また、ビタミンKを作用点にしているため、ビタミンKを多く含む納豆は控えるなど食事制限が生じてしまう。

他剤との相互作用も多い。

ただ安い。

 

NOAC

New Oral Anticoagulant 又は non-vitamin K antagonist oral anticoagulants

の略で、2011年から発売され出した新規経口抗凝固薬の総称のこと。

抗凝固作用が安定しているため、効果を確認するための定期的な採血管理が必要ない。

また、トロンビンやXa因子を作用点に持つため食事制限がない。

他の薬剤との相互作用も少ないためとにかく使いやすい。

薬価はかなり高いが、この薬を飲んでいる人はかなりみかける。

日本だと

リクシアナ
エリキュース
イグザレルト
プラザキサ

の4種類がある。

4種類間に大きな差はないらしく、口腔外科医はこれだけしってれば十分じゃないでしょうか。

 

 

抗血小板薬

血流が早い環境下では血小板が活性化しやすく、動脈硬化などによる動脈血管の障害があると、血小板血栓が生じる。

血小板の活性作用を抑制することで抗血栓作用をもたらす。

狭心症心筋梗塞に対し、血栓塞栓症予防のために使用するケースが多い。

 

 

バイアスピリン

COX-1阻害により、血小板凝集作用のあるTXA2を抑制するため、血栓塞栓症を予防する働きを持つ。

 

その他有名な物として

プラビックス(一般名:クロピトグレル)
プレタール(一般名:シロスタゾール)
パナルジン(一般名:チクロピジン)
エパデール(一般名:イコサペント酸エチル)
ペンサルチン(一般名:ジピリダモール)

が挙げられる。