周術期に輸液補給を行う症例は多いが、歯学部では全く習わない話であるため、考えていく。
今回は輸液の計算方法について
周術期で患者さんに輸液補給をする時、どの位の量をどの位の速度で補給すればいいのか考える必要がある。
水分のin/outの原理を踏まえた正攻の計算方法は
Out量=尿量+汗・不感蒸泄量+大便の水分量
In量=代謝水
より
1日の必要水分量=out量−In量
で示される。
不感蒸泄量は普段生活する上で体表から蒸発している水分量のこと
汗・不感蒸泄量は37℃の体温下で約15ml/kg/dと考えられている。
ちなみに、体温が1℃上昇する毎に100〜150ml/d増加する。
大便の水分量はカラカラにみえて100ml位あるらしい。
一方で、体がエネルギーを作る代謝の副産物で水が産出される。
解答系〜電子伝達系の反応式を見ると
C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O (+38ATP)
1日に必要なグルコースは150g程度であるので、約100ml程度の水が算出される。
他の代謝経路と合わせると、大凡300ml/dとなる。
以上を踏まえ、
1日の必要水分量=尿量+15*体重−200ml
体重が60kg、尿量が1000mlの成人男性の場合は
In=300ml
out=1000+900+100ml
1日必要量は1700mlとなる。
でもこの計算を毎回するのはちょっと面倒。
蒸発量や代謝量は個人差が激しい上に計算なんて出来ないし、健康な人であれば尿量で体液量をコントロールできるし。
なので、簡単な計算式はある。
まず、上記の式の200mlなんて誤差の範囲だし、個人差の範疇に含まれるから無視しちゃおうってことで
1日の必要水分量=尿量+15ml/kg/d
尿量を測るのも面倒だしもっと簡単にしようってした式が
1日の必要水分量=体重(kg)×25〜30(ml)
これは非常に簡単な計算法だが、これはあくまでも
既往がなく普通体型の成人
において近似できる。
体重60kgだと1750〜1800mlで、上の値と似ている。
ただあくまで簡単に変形した式なので、
小児だったり肥満、腎機能が悪い患者などには避けるべき。